それは同じクラスの男の子。
ちょっと意地悪だけど、本当はとても優しくて、人を気遣える素敵な人。
いつからだろう、こんな風に意識するようになったのは?
私は自分の性格が少しだけ好きじゃない、
それはうららさんやこなつちゃんのように明るく前向きではないから。
引っ込み思案で、自分から前に出て意見を言う事も出来ず、
いつもオロオロしてばかり。
そして男の子もちょっと苦手。
そんなことないってわかっているけど、それでも怖いって思えてしまうから。
だから声をかけられただけでびくっとしちゃう。
そういう臆病な所が嫌だってずっと思っていた。
なのに、彼とは普通にお話しする事が出来て、気がついたら仲良くなっていて、
そして気付けば無意識に彼の事を目で追っている自分に気付いてしまった。
だけど、この感情はなんなのだろう、
恋?
憧れ?
親愛?
よくわからない。
今まであまりそういう経験をしてきた事がないから、
自分の気持ちを測りかねてしまう。
そんな答えの出ない問題に頭を悩ませ溜息をつくと、
私の耳元でなつきがウンザリしたような口調で、
また溜息? って……
なつきの言いたい事は聞かなくてもわかっている。
いちいち悩んで溜息なんかつくんじゃない、
もっと自分に自信を持って生きなさい。
なんだよね?
それはわかっているし、そうしたいとも思ってはいるけど、
私はなつきみたいに強くないから、やっぱりいじいじしてしまう。
私にもなつきのような強さが少しでもあったら、
たぶん世界の色も違って見えるんだろうな、
なんて思ってしまう。
彼に対する感情に戸惑うことなく、
簡単に答えにだって行き着けるのかもしれない。
この気持ちは憧れ。
いつも私の傍らにいてくれる、この小さな親友に私は憧れている。
いつも真っ直ぐで自分の意見をハッキリ言葉に出来るその姿は、
とても大きく私の瞳に映るから。