私はひとりぼっちだ。

この世界には多くの人間が存在している。

だけど、私は決してその大勢の中に含まれる事はない。

この世界で誰とも交わらず、ひとりで生きていく、そういう存在なのだから。

そう、ずっとそう思っていた、あの時彼と出会うまでは……
彼は私の閉じた世界を広げてくれた、
彼に出会えて私は未来に少しだけど希望という名の夢を見る事を覚えた。

もっとも夢は夢でしかない、
この私に希望などというものは最初から存在していないのだから……
どんなに精巧に出来た人形でも心が存在しないように、私にはそれがない、
そういう風に出来ている。

そう、私は人形と同じだ。

人の姿をして言葉を操り、
最低限の感情を持ってはいても、
肝心な何かが欠落している。

それはとても大切なものに違いはないけど、
それがなんなのか私には知る術がない。

そんな私に彼の手を取る資格があるのだろうか?
この出来損ないの人形に人の温もりを求める事は許されるのだろうか……
わからない、そしてその問いに答えてくれる人は誰もいない、
なぜなら私はひとりだから、
未来永劫この世界でただひとりなのだから。